めぐりめぐる。

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キングオブコントで飛び出した「この設定の内容では最高峰」という三村の一言はショック、という話

キングオブコント2015年を昨日見ました。各芸人のコントについては既に様々な人が語ってくれているので、僕はもうちょっと別の視点で語りたいと思います。

 

日本には序破急や起承転結という概念があり、ストーリーというのは基本的にこの考え方に基づいて構成されることによって面白い物語が生み出せるという考え方があります。そして僕はその中でも、最後の物語を集結させる部分「オチ」というのが最も重要だと思っています。

 

オチから物語を考え、収束させていくのが一番上手だったのが「ジャングルポケット」の1つ目のネタ。友人の彼女を寝とってしまった男が友人に怒られるのかと思いきや開き直り、友人が延々と空回りしてしまうという話。3人コントの醍醐味である、喧嘩の仲介をする男の立場がころころと変わっていくところがまた面白い。この構成力は東京03のコントを思い出させます。

 

このコントに対して審査員である三村マサカズが話したコメントがタイトルに書いた「この設定の内容では最高峰」という言葉。この発言が飛び出すということは、コントでこのタイプの構成で挑み続ける限り「勝てることはない」と思っているということです。

 

コントとは「寸劇」という意味であり、劇であり物語である以上、この起承転結の「型」は最も基本的であり、最も重要視されるべき要素であると僕は思うのですが、会場の雰囲気もこの会話を聞いて納得しているご様子だったので、ちょっと残念な気持ちになりました。

 

リズムネタを披露した「コロコロチキチキペッパーズ」や「バンビーノ」のコントは、見てて退屈しちゃうんですよね。見てると確信するんですけど、「物語に変化がつけにくい」ですよ。場面が変化していかないストーリーは、見てて面白くありません。「オチ」も弱かったですしね。物語が盛り上がって、収束していく感じがありません。

 

思いの外バンビーノが高得点だったことにとても驚きました。今の日本で評価されるコントはこういうものになっていくのだとしたら、ちょっと僕は嫌ですね。

 

「コロコロチキチキペッパーズ」はリズムネタも披露していましたが、1本目のネタがとても良かったので是非この方面で頑張って欲しいものです。「やってはいけない」という禁忌をあえて破ってしまうことで笑いを取るというやり方がとても好きでした。

 

ギリシャ神話のオルフェウスの話(絶対に振り返ってはいけない)とか、日本昔話で言えば鶴の恩返し(絶対に見てはいけない)といった話を思い出しました。古典をアレンジしたことで大変に面白いコントが生まれるのは、やはりストーリーを生みだす基本構造があるからだと僕は思います。

 

だから三村さんにはそんなことを言ってほしくなかったな。もっと違うアドバイスがあったのでは。