めぐりめぐる。

落語や漫才を見るのが好きです。エンタメ系の記事を中心に、幅広く書きたいことを綴るブログです。メールでのお問い合わせはこちら「infomeg2@gmail.com」。最近投資系の記事は「http://www.toshi-meguri.net」で書いています。

【R-1ぐらんぷり2016】話のオチが弱いエハラマサヒロと横澤夏子の話

はいはいそういうわけで昨日一昨日と記事書いてきましてね、比較的話題性のある小島よしおとサンシャイン池崎に触れたのでそろそろ他の芸人について語りたいと思います。何というかエハラマサヒロとか横澤夏子とか、今回のR-1ぐらんぷりについてどう思ってるんですかね。僕はまあ去年のM-1グランプリとかTHE MANZAIとかキングオブコントとか見てると「ハゲとデブとブサイクと裸と勢い」でお笑い界が盛り上がっている印象ですね。まあ別にそんなことはどうでもいいですけど、コンプレックスをひたすらぶつけ合って、一番客を傷つけずに笑いをとったやつが優勝って感じがしますね。なんだか恐ろしいですね。

 

さて横澤夏子ですが、期待通り面白かったですね。テレビ番組「今夜くらべて見ました」に出演してから一気に知名度が上がった気がする彼女ですが、元々面白い人でどこでネタやってもウケてるので実力あるなーと思ってました。横澤夏子はとにかく女の日常を切り取らせたら一級品じゃないですかね。お笑いコンテスト系では女性の観客も多いので有利だと思います。で、特にいいなというか賢いなと思ったのは、今回のコントは女性から見ると「ああこういう同性いるわ」って共感できるし、男性側からも「あ〜なんかいそう〜」ってなるところですよね。もしくは「ああこういう女いたわー」って思う人もいたかもしれないですね。なんというかこう男と女の視点って微妙にずれているにも関わらず、どっちの視点から見ても面白いっていうのはさすがだなと思います。全然関係ない話なんですけど、クレヨンしんちゃんの映画で「嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲」って話があって、その話が子供が見ても大人が見ても楽しめるコンテンツになってるんですね。映画のあらすじをここで語ると大きく脱線してしまうので止めますけど、あの映画を子供の時に見た時と、成人した後に見た時では大きく印象が変わって面白かったって経験があったんですよ。あれに近い感覚を横澤夏子のコントを見て感じましたね。ちょっと褒めすぎですけど。じゃあなんで勝てなかったかという話をしますと、あのコントの敗因はオチの弱さじゃないですかね。笑いどころはたくさん有ったんですけど、話が収束していく中で面白くなっていく構成ではなかったので。

 

そういう意味ではエハラマサヒロも同じで、丁寧な演出と巧みな表現力でお客さんから爆笑をとっていったのに、最後尻すぼみだったんですよね。あと「ハーブ」とかの麻薬系の笑いどころが完全にすべっていたのも原因じゃないでしょうか。エハラマサヒロは自身のツイッターでこんなこと言ってましたけど、たぶん単純に構成の問題だと思いますよ。その芸を磨けばいいと思うんですけどね。嫌ならハリウッドザコシショウみたいな勢いのあるネタやればいいんですよ。

 

エハラマサヒロも横澤夏子も、構成力で勝負をするネタにしては最後のオチが弱いので、だんだん盛り上がって最後「ワッ!」って観客が言って終わるネタを是非見たいなと思いました。 

【この熱い想いは10分で書いた】

 

【R-1ぐらんぷり2016】サンシャイン池崎について語るぜイェーーーーーーーー!!!

 

R-1グランプリを見てサンシャイン池崎について初めて知った人って少なからずいると思うんですが、彼最高じゃないですか?というかもうお笑い大好きな人なら池崎が出るってだけで「イェーーーーー!」って気分になってしまう芸人さんなんですよ。突然出てきて何だこいつって思ってる人もいると思うんですけど、彼普通にお笑いハーベストで準決勝とか進出してますからね。普通に実力ある一人芸の持ち主ですから。何ならM-1グランプリ見てメイプル超合金って面白いんだなーって思った人はいますぐゲオに行ってお笑いハーベストのDVD借りてきなさい。というか買いなさい。

 

ハリウッドザコシショウ(以下ザコシ)のネタは笑いどころはわからないって人も、サンシャイン池崎のネタは突き抜けてるけどなんか面白いぞって思った人はいるんじゃないですかね。僕の嫁さんも絶賛してましたし。スーパーニュウニュウとかザコシみたいな突き抜けすぎて理解不能なコントも世の中に出続ける中で、比較的サンシャイン池崎のネタは着地点が僕らの心の中の許容量を超えないので楽しく見れるんですよね。

 

「心理イェイ」はサンシャイン池崎の定番のネタなんですけど、すごく好きで。あ、ちなみにお笑いハーベストではスタッフの方がボードで持ってきてくれて、一芸あるんですぜ。「OKセルフサービス!」は実は2重で面白かったという。まあ何というかそういう面白さもあったわけなんですが、彼はだいたいいつもあんな感じです。あんな感じですけど、楽屋では自分のネタ作りに頭を悩ませる真面目タイプらしく、そのギャップにちょっとまた笑えるっていうか。まあとにかく突き抜けてるネタを披露してくれる彼なんですけど、終着点が可愛いんですよね。心理イェイはだいたい三択クイズで、「どんな時にあなたがイェイと言うのかがわかります」というネタだけど、オチが「穴を掘ったら石油が湧いてきたけど、石油をお尻に当ててウォシュレットで吹っ飛ばされたあげく見つけた100円でイェーーーー!」ですからね。石油が湧いてきたところで終わらせないところなんかもうわかりきってますけど、それでも笑ってしまうのはサンシャイン池崎のキャラクターと勢いがあってこそだと思います。

 

ネタもだんだん進化してるなーって感じでした。最近披露してたネタの3倍くらい今回は面白かったですね。結構歌ネタや下ネタも入れてきてて、新たな池崎さんイェーーーーーー!って感じで。とりあえずBKBことバイク川崎バイクと同じぐらい好きです。川崎はR-1グランプリ予選の準決勝でおしくも落選しましたけれども。まあ彼は関西では人気なんで、そのうち東京でも活躍してくれるはずです。ヒィーア!

 

あーまたザコシについて語るの忘れちゃったなーせっかく略称にして書いたのになー(棒読み)。明日はそうだな、厚切りジェイソンについて書くかも。もしくはマツモトクラブ。

【この愛情あふれる文章は15分で書いた】

 

【R-1ぐらんぷり2016】小島よしおが最高だったお話

 

R-1ぐらんぷりの結果についてはもう皆さんご存知で賛否両論あると思いますので優勝したハリウッドザコシショウ(コピーするの面倒臭いから以下ザコシね)は一先ず置いておいてタイトルの小島よしおについて語りたいと思います。いやー小島よしお最高じゃなかったですか?もう「小島よしおがR-1ぐらんぷりに出る」って聞いただけでワクワクしちゃいましたけどね僕は。もう絶対面白いと思ったんですよね。

 

「社長の期待がヤバイ」「サンミュージックからの圧力がすごい」「10年前から同じネタ」でおなじみの小島よしおですけど、設定というか彼のバックグラウンドが最高ですよね。みんな知ってるじゃないですか、どうあがいてもヤバイ今の彼の状況を。もう後がなくてR-1ぐらんぷりで一山当てないとピンチな状態が。この様々な重圧を受けて最高にロックじゃないですか。で、登場した瞬間にコジコジマリオネットですよ。(コジコジマリオネットで合ってるのか?)もう爆笑ですよね。ああこいつはこんな形で進化してきたんだって感じでもうお客さんの失笑というか期待というかドキドキ感がすごくて、でもちゃんとマリオネットネタとしてはそこそこ面白い話を喋りやがるから場の盛り上がり方が凄かったですよね。

 

ピン芸人としてこうある程度身を切った芸の1つや2つが必要な中で、もう身を切りすぎちゃって痛々しいというか、同情しちゃうというか、滑稽な感じが小島よしおというキャラクターでいい感じに中和されちゃって、もうこれぞお笑いだよなって感じがしちゃって、ある種の感動すら覚えましたね。もう崖っぷちのコントで必死さが伝わってきて、こんなの笑うしかねえじゃねえかと。もう100点上げたいよって気持ちで一杯です。僕たまたま2本目のネタから見て大爆笑だったんですけど、1本目の方が面白かったんでもう吃驚ですよ。マリオネットネタをもっと磨いてほしいな。まあたぶんマリオネットネタも2本目で底が尽きたのかぐるぐる回ってたけどね。もうちょっと練ればいろいろできるんじゃないでしょうか。お面みたいなものが外れて怖い顔の人形が出てきたけど、毎回雑でもいいから世間の関心事と合わせてアレンジしていけばまた面白そう。あとはそうだなー、人形がサカナクションみたいに突然5体になっただけで爆笑しちゃうなー。ああなんかポテンシャル高くないですかマリオネット。もう必死に小島よしおにネタやってほしい。もうマリオネットネタやりたくないですって言わざるを得ないぐらいまで追い込んで頑張ってほしい。その必死さが、滑稽さが、笑いにつながるから。

 

あとはマリオネットからのおなじみのオッパッピーも良かったですよね。お客さんがノリノリで拍手してたのも良かった。場の雰囲気が「お前はやっぱこれだよね」って感じが最高に伝わってきて良かった。自分の最初のネタはやっぱり鉄板で大事にしていきたいよな。とにかく明るい安村(以下安村)は自分のネタの方向性を大きく変えてたけど、やっぱり自分が一番ウケてたネタを派生させていったほうがいいと思う。お客さんもちょっと動揺してたし。というか安村は紙芝居ネタを他の番組でやっててそんなにウケてないのわかってたんだったらR-1ぐらんぷりは違うネタやれば良かったのにね。

 

あれ略称をわざわざ本文で明記したにも関わらずザコシに全然触れてないぞ?まあいっか。明日からは他の出演者にも触れていくよ!サンシャイン池崎とか!!!イエーーー!!!!!

【小島よしおへの熱いソウルフルメッセージを10分で書いた】

 

【東京ダイナマイト】知れば知るほど好きになるハチミツ次郎のお話

 

東京ダイナマイトと言えば、華々しくお笑いの大会で優勝するようなことはないけれども、必ず会場に爪あとを残すというか「あいつら一体なんなんだ?」と思わず興味を引いてしまうようなお笑いコンビだと僕は思う。

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今の東京ダイナマイトは実は二代目だ。1996年に曽根卍(そねまんじ)とハチミツ次郎で初代東京ダイナマイトが結成されて、その後紆余曲折あって曽根卍が脱退し、2001年にシュールなボケをかます松田大輔が加入して今の形になった。東京ダイナマイトの最近のネタは松田が歌ネタや変人を演じて非常に目立ちがちなんだけど、よく見ているとハチミツ次郎の方に思わず目がいってしまうというか、ツッコミが上手で引き込まれる。

 

ハチミツ次郎のツッコミスタイルはサンドウィッチマンの伊達も絶賛していて、とても勉強になるとこぼしていたそうだ。サンドウィッチマンのネタを見ていても、確かにハチミツ次郎のスタイルに似ているものを感じる時がある。単純にボケに突っ込みを入れるだけではなくて、少しボケに悪乗りしてみたりとか、冷静に対応するとか、見て笑っているだけとか。ボケに対してキレたり訂正を激しく入れるだけじゃなくて、バリエーションに富んだ対応を入れることで面白さが何倍にも膨れ上がっている。ボケとツッコミというスタイルでお笑いを作る時、いわゆる「日常あるある」なネタと「非日常の中に笑いを作る」タイプのネタが例えばあると思うんだけど、後者のネタの場合あまりにも作られた架空の世界が出来上がってしまうと客がついていけなくなる。でも東京ダイナマイトの場合、設定は思いっきり日常からズレているにも関わらず、その謎の世界観に思わず引きずり込まれてしまって、なんだか本当にそんな人や物事があるんじゃないかと感じてしまうのだ。

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常に堂々としているハチミツ次郎

2015年のTHE MANZAI終了後に、爆笑問題のラジオでも言及されていたのが、「ハチミツ次郎落ち着きすぎ問題」だ。彼はどんな舞台であっても、全く緊張せずにその場に堂々としているそうで、その振る舞いがあまりにも似合っていた結果「師匠」と楽屋で呼ばれているらしい。まあでも、彼がどんなことにも動じずに自分を保っていられるのは、今まで生きてきた中で積み上げてきた経歴があるからこそだと思う。

 

ハチミツ次郎は20歳前半からお笑い事務所「トンパチ・プロ」を自身で立ち上げて、舞台を自分で切り盛りしていた。猫ひろしとか、マキタスポーツを世の中に送り出したのは彼なのであった。そこにトンパチ・プロのライブに定期的に見に来ていたAV監督のバクシーシ山下(台本なしで社会風刺的なAVを撮影する有名な人)と出会い、AVの撮影現場に招待されるエピソードがある。*1ある時山下から「社長*2、うちに見学に来ませんか?」と話をしたという。招待された撮影現場で突然人が足りなくなり、その場が騒然としていたのを見たハチミツ次郎が「俺、AV出ましょうか?」と自ら名乗り出て、そのままAV男優としてデビューする。*3ハチミツ次郎がAVに出演した回数は、なんと80回である。


当時AV男優というと白いブリーフを履いたおっさんが多かったため、ハチミツ次郎のように若く、さらにテレビで名の売れている芸人はいなかったので、AV1本当たり5万円の出演料をもらっていた。(素人のAV男優は1本当たり5000円〜10000円が相場で、5万円というのはチョコボール向井とか加藤鷹が貰うような金額)

 

8本出れば40万円稼げたことから、そのお金を自分達のお笑いの劇場を借りるための資金としてつぎ込み、経営をしていたという。物凄い強いメンタルだ。午前中AVの撮影、午後からオンエアバトルに出場というスケジュールも何とかこなしていたらしい(相方の松田は、ハチミツ次郎が石鹸の匂いを常に漂わせていたからオンエアバトルに落ちまくっていたと苦笑いしていた)。

 

ハチミツ次郎がひな壇をやらないわけ

東京ダイナマイトは、トンパチ・プロの人気が低迷して事務所を畳んでからはオフィス北野(ビートたけしの事務所)にお世話になり、現在はよしもとクリエイティブ・エージェンシーに所属している。ハチミツ次郎は、オフィス北野に所属していた頃ビートたけしには随分世話になったそうだ。事務所を辞める時にもきちんとビートたけしに挨拶をしたそうだが、その時に「お前らはひな壇と短いネタをやるんじゃねえぞ」と言われてその約束を守っているのだとか。元々東京ダイナマイトとしてトンパチ・プロで劇場でたくさん舞台に立っていたが、事務所を畳んでから入ったオフィス北野ではあまり劇場で場数を踏めないのが不満だった。その気持ちを無くさずに頑張れというビートたけしのメッセージだったのだろう。

 

その言葉通り、東京ダイナマイトはひな壇をやらないし、短いネタをテレビ番組で披露するよりも劇場での公演が非常に多い。というか、東京ダイナマイトは短いネタも面白いけど、彼らの本領は長いネタにあると思う。何というか、3分や5分では面白いさが引き立たなくて、中途半端な印象を受けてしまうのだ。「仕方ないから、ここまでします」という後味の悪さがどうしても出ている気がするし、「もっと見たかったな」と思ってしまう。劇場のネタは本当に面白いので、是非足を運んで生で見ることをお薦めする。

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追記

ヤマグチジロウさんに言及して頂きました。ハチミツ二郎の相方の松田について詳しく書いてくださっています。というか僕より遥かに東京ダイナマイトについて知っていらっしゃいます。興味のある方は是非こちらをどうぞ。

 

colapoly.hatenablog.jp

 

*1:ハチミツ次郎はバクシーシ山下にトンパチ・プロの公演のチケットを無料で提供していた。

*2:ハチミツ次郎は社長と呼ばれていた、まあ経営者だから当然だけど何だか面白い

*3:初回はマスク仮面を被り挑戦したが勃たず断念。2回目はハチミツ次郎という名前を使い、顔を晒して撮影に望み、無事に成功。

昭和元禄落語心中1話 与太郎の落語「出来心」と寄席囃子「前座の上がり」

昭和元禄落語心中を見るのが最近楽しみな僕です。今日は主人公の与太郎が演じた落語「出来心」と、与太郎が高座(座布団があるところね)に上がる時に流れていた曲「前座の上がり」について語りたいと思います。

rakugo-shinju-anime.jp

 

出来心という落語について

まず「出来心」というお話ですが、落語を始めたばかりの与太郎には非常に演じるのが難しい内容でした。親分から泥棒の極意について学ぶ間抜けな泥棒、いっちょ泥棒してやるかと空き巣に入ってみるが失敗する泥棒(本編ではカットでしたが)、ようやく家に侵入したと思ったら家主が帰ってくる、今度は家主と大家さんの押し問答が始まりその様子を聞く泥棒、最後に泥棒がキレてオチがやってくるといった具合に、場面の切り替わりと登場人物がそこそこ多く、ダレやすい内容です。普通に演じるとこのネタは40分程度かかります。声優さんが自ら演じていましたが、素晴らしい出来でした。

 

「どんなものを盗まれたんだ?」「ええ、布団盗まれましたねえ」「どんな布団だ?」「ええと、裏に花色木綿が入ってます」でお馴染みのシーンですが、「裏は花色木綿」というのが一つ大きな笑いどこでキーワードになっています。実はこの落語は短く演じる時には「花色木綿」という名前に変わり、泥棒が外に出ていこうとするシーンで「おい、俺はもう出ていく。裏はどこだ?」「へえ、裏は花色木綿」で話のオチをつけるという方法もあったりします。

 

僕が大学時代に落語研究会に入って初めてやったネタがこの「出来心」で、それはもう大変でした。与太郎が小夏に怒られていましたが、最初は覚えるだけで精一杯になってしまう。ネタを覚えるのと演じるのとでは随分と違いがある。そんなセリフが印象深く、懐かしさを覚えました。僕は落語の台本は柳家小三治師匠の音源で起こしました。とっても面白いので、40分ほどありますが是非聞いてみてください。

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前座の上がり

落語家が高座に上がる時に流れている音楽を「出囃子」と言います。そして与太郎が出てくる時に流れていたのが、「前座の上がり」という曲です。長唄三味線と呼ばれる三味線で弾かれています。津軽三味線のような軽快な音は出ませんが、落語の出囃子にはぴったりの艶のある音が出るのが特徴。最初の数音の「ジャンジャン」という音が華やかですよね。三味線は三弦しかない楽器です。その内2本の弦を同時に鳴らすことでああいった華やかな音が出るのです。

 

「前座の上がり」という曲はその名の通り前座、つまり師匠の前に出てくるような下っ端が出てくる時に使う曲です。だいたい前座の曲というのは賑やかしい音とリズムで場を盛り上げるものが多いです。一方師匠の八雲が出てくる時に流れていた出囃子は「潮来」といいます。僕はあまり知らない曲でした。まだ1話なのでわかりませんが、ひょっとすると八雲のテーマソングかもしれませんね。

 

落語家は偉くなると曲を指定して、「俺が出る時はこの出囃子で」と決めることができます。例えば木賊刈(とくさがり)が流れば「立川談志が出てくる!」とわかるし、序の舞が流れれば「小さんが出てくるぞ」とわかります。出囃子も場を盛り上げるのに一役買っているというわけですね。

小さんの序の舞.wmv - YouTube

出囃子 木賊刈り 立川談志 - YouTube


僕は学生時代に長唄三味線をやっていたので、この辺りの曲は実は弾けます(もう4年以上弾いてないけど)。愛知県蒲郡市で行われた落語会で、柳屋三三師匠の出囃子を学生ながら弾かせてもらったのがいい思い出です。また三味線のウンチクも少しずつお話していきたいと思います。今日はおしまい。