めぐりめぐる。

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昭和元禄落語心中1話 与太郎の落語「出来心」と寄席囃子「前座の上がり」

昭和元禄落語心中を見るのが最近楽しみな僕です。今日は主人公の与太郎が演じた落語「出来心」と、与太郎が高座(座布団があるところね)に上がる時に流れていた曲「前座の上がり」について語りたいと思います。

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出来心という落語について

まず「出来心」というお話ですが、落語を始めたばかりの与太郎には非常に演じるのが難しい内容でした。親分から泥棒の極意について学ぶ間抜けな泥棒、いっちょ泥棒してやるかと空き巣に入ってみるが失敗する泥棒(本編ではカットでしたが)、ようやく家に侵入したと思ったら家主が帰ってくる、今度は家主と大家さんの押し問答が始まりその様子を聞く泥棒、最後に泥棒がキレてオチがやってくるといった具合に、場面の切り替わりと登場人物がそこそこ多く、ダレやすい内容です。普通に演じるとこのネタは40分程度かかります。声優さんが自ら演じていましたが、素晴らしい出来でした。

 

「どんなものを盗まれたんだ?」「ええ、布団盗まれましたねえ」「どんな布団だ?」「ええと、裏に花色木綿が入ってます」でお馴染みのシーンですが、「裏は花色木綿」というのが一つ大きな笑いどこでキーワードになっています。実はこの落語は短く演じる時には「花色木綿」という名前に変わり、泥棒が外に出ていこうとするシーンで「おい、俺はもう出ていく。裏はどこだ?」「へえ、裏は花色木綿」で話のオチをつけるという方法もあったりします。

 

僕が大学時代に落語研究会に入って初めてやったネタがこの「出来心」で、それはもう大変でした。与太郎が小夏に怒られていましたが、最初は覚えるだけで精一杯になってしまう。ネタを覚えるのと演じるのとでは随分と違いがある。そんなセリフが印象深く、懐かしさを覚えました。僕は落語の台本は柳家小三治師匠の音源で起こしました。とっても面白いので、40分ほどありますが是非聞いてみてください。

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前座の上がり

落語家が高座に上がる時に流れている音楽を「出囃子」と言います。そして与太郎が出てくる時に流れていたのが、「前座の上がり」という曲です。長唄三味線と呼ばれる三味線で弾かれています。津軽三味線のような軽快な音は出ませんが、落語の出囃子にはぴったりの艶のある音が出るのが特徴。最初の数音の「ジャンジャン」という音が華やかですよね。三味線は三弦しかない楽器です。その内2本の弦を同時に鳴らすことでああいった華やかな音が出るのです。

 

「前座の上がり」という曲はその名の通り前座、つまり師匠の前に出てくるような下っ端が出てくる時に使う曲です。だいたい前座の曲というのは賑やかしい音とリズムで場を盛り上げるものが多いです。一方師匠の八雲が出てくる時に流れていた出囃子は「潮来」といいます。僕はあまり知らない曲でした。まだ1話なのでわかりませんが、ひょっとすると八雲のテーマソングかもしれませんね。

 

落語家は偉くなると曲を指定して、「俺が出る時はこの出囃子で」と決めることができます。例えば木賊刈(とくさがり)が流れば「立川談志が出てくる!」とわかるし、序の舞が流れれば「小さんが出てくるぞ」とわかります。出囃子も場を盛り上げるのに一役買っているというわけですね。

小さんの序の舞.wmv - YouTube

出囃子 木賊刈り 立川談志 - YouTube


僕は学生時代に長唄三味線をやっていたので、この辺りの曲は実は弾けます(もう4年以上弾いてないけど)。愛知県蒲郡市で行われた落語会で、柳屋三三師匠の出囃子を学生ながら弾かせてもらったのがいい思い出です。また三味線のウンチクも少しずつお話していきたいと思います。今日はおしまい。