めぐりめぐる。

落語や漫才を見るのが好きです。エンタメ系の記事を中心に、幅広く書きたいことを綴るブログです。メールでのお問い合わせはこちら「infomeg2@gmail.com」。最近投資系の記事は「http://www.toshi-meguri.net」で書いています。

「内村てらす」が俺の好きな番組じゃなくなっていく

 

お笑い番組が大好きな人ならチェックしているであろう番組「内村てらす」について今日はお話したいと思います。というかこの番組見てる人だったらみんな怒ってるんじゃないですかね?「あれ?番組の趣旨おかしくね?照らす方向がおかしくね?トレンディエンジェルの頭照らしてる場合じゃなくね?」って感じてると思うんですよ。今日はその気持ちをだらだらと書きたいと思います。

 

内村てらすといえば、日本テレビで深夜にやっているバラエティで、コンセプトは「内村光良」がもっと輝くべき芸人、もしくはあんまり知られていないけど面白い芸人をピックアップして、思いっきり掘り下げるという内容でした(でした!)。

cu.ntv.co.jp

 

これがまた素晴らしくいい番組で、主役芸人とその芸人をよく知るゲストが参加し、さらに主役芸人の原点を探るべく、小学校中学校時代の人柄や事務所に入るまでの経緯を掘り下げたり、芸人同士しか知らない裏事情なんかもかなり話してくれてもうお笑い好きな人なら嬉しくてしょうがない話ばっかり聞けたわけです。

 

芸人も最初はメジャーどころが多く出てましたけど、尼子インター、エル・カブキ、大自然、バッドナイス常田、スーパーニュウニュウ、だーりんず、サツマカワRPG、粗品、ガンバレルーヤ、大自然といった(多いな)、「売れてくれよクソ面白いし頼むから」みたいなやつを積極的に照らしてくれていて、大興奮でした。

 

またこの芸人達を見て思わず発する内村さんの一言がいちいち面白く、番組MCという位置付けではないんだけどうまく芸人達の会話のバランスを取りながらトークを展開していて素晴らしいわけです。ちゃんと芸人達のメイキングビデオの後に「なぜ芸人になったのか」「なぜコンビを組もうと思ったのか」「ピンになったきっかけは何か」「周りでつるんでいるこの意味不明な芸人は一体なんだ!」「どうやってネタを作ってるのか」「コンビの上下関係はあるのか(ネタを作る方が偉いみたいな風潮について)」

「相方と付き合っていて困ることとかある?」「芸名の由来は?」「芸人やめようと思ったことある?」「なんでいい大学出てるのにお笑いきちゃったの?」とか、もう本当にちゃんと芸人に向き合ってやってくれるので、超面白いんですよ。

 

ところが最近「内村てらす2」という新シーズンが始まり、番組の内容が大きく変わってしまったわけです。内容が今まで番組に出演した芸人を中心にロケをやる、と言う内容。あのさ...もう...違うんだよ!!!ただの売れてない芸人がやるロケを中心に置いたって面白くわけないだろ...第一この番組は内村さんのコメントがあってこそ面白かったんだぞ!!!って思っちゃう。

 

4/7に放送された回は「貧乏芸人と金持ち芸人の生活を入れかえる」という内容のロケで、もちろんロケ内容自体は面白かったんだけど、「これ内村てらすでやる必要ある?」という内容。貧乏芸人は金持ち芸人の家で悠々自適に暮らし、金持ち芸人は貧乏芸人のスケジュールに組み込まれて、アルバイトをしたり、子供の世話をしたり...というだけ。貧乏芸人や金持ち芸人の芸風や、普段どんなネタをやっているのかといったことについてはほぼ触れられず、ただ生活が入れ替わることだけで面白さを追求している内容だった。もうこれだったらやらなくてもいいじゃんという感じ。

 

さらに内村さんがコメントを入れる機会がほとんどなく、完全に傍観者の位置に。内村さんが芸人をトークで上手に掘り起こすという番組の趣旨から完全に外れ、ほとんどただ笑ってるだけ。本当にもったいない。

 

早く元の形に戻ってくれ...頼む!おなしゃす!!!アザーーーース!!!!(サツマカワRPG)

 

【M-1グランプリ2016】和牛とカミナリを戦わせてみたかった、あとラスボス「上沼恵美子」について

 

M-1グランプリ2016面白かったですね。ただ正直やっぱり敗者復活戦の方が面白かった感も強かった印象です。何でしょうか、本戦にいても全然おかしくないコンビがたくさん敗者復活戦側に残ってたからですかね...。何にしても敗者復活戦を堂々と勝ち上がった和牛にはおめでとうを言いたいです。

 

和牛、決勝でもぶっちぎりで1位をとっていくと思ったんですが、銀シャリに持ってかれてしまいました。会場の沸き方やネタの構成考えても断然和牛だと思ったんですけどね、評価基準が審査員とは違ったようです。残念です。ただ松本人志が和牛にちゃんと入れてたので、やっぱり和牛だったようなと安心したっていうか、自分の気持ちを確かめるような感じでちょっと複雑でした。細かいネタが面白いのと、中盤にかけて面白くなっていき、最後に爆発的に笑いをとったというのはもっと評価されるべきだと思うんですよ。ネタの構成、笑いの総量、後半に向けて盛り上がるか、最後のオチでしっかり話が締まるか。そういった評価視点できちんと点数がつけられているのが、少し疑問な時が何度かあったと思います。

 

序盤ではカミナリがぶっちぎりで面白かったのですが、上沼恵美子先生によって見事にブロックされました。設定が話が進んで行くにつれてどんどん生きてきて、盛り上がりが凄かったのですが...。途中では上沼先生に好かれることがM-1グランプリを制するのではないかと心がざわついたぐらいです。今回審査員が5人ということもあって、一人一人の点数や選択が大きな影響を与える年になったわけですが、上沼先生の点数の開き方はかなり違和感があり、どういった評価基準を設けているのか疑問を持ちました。あとやっぱり後半に出てくるコンビの方が勝ち上がりやすくなるのはもう少し何とかしてあげたいですね...。時間かかるかもしれないですけど、決勝戦もグループ分けして細かく評価していくような仕組みの方が前半後半の点数の落差が減る気がします。

 

あと気になったコンビは、アキナと相席スタート。アキナ面白かったです。5歳が大人の世界をシュールに語るっていう設定が面白かった。ちょっと途中から「もう大人じゃん」っていうのがどうしても頭から離れなくて、5歳っていう設定が生きず盛り上がりに欠ける場面もあったんですけど、後半にネタやってたらわからなかったかもしれない。あと相席スタートは、すごくネタが練られててよかった。合コンと野球っていう組み合わせと、ダジャレだけで終わらない話の上手さに唸ってしまった。一言一言が面白くて、想像のちょっと上を行く話の持って生き方とトークが良かった。山崎ケイのエッチなネタが特徴的だったコンビだったけど、このM-1グランプリで完全に実力をみせてきたなーと思いました。

 

すみません、なんだかんだ楽しかったです。 

 

【M-1グランプリ2016敗者復活戦】東京ダイナマイト、和牛、メイプル超合金に投票しました

(この感想は敗者復活戦投票結果公表前に書いています)

 

M-1グランプリ2016敗者復活戦を見ました。いやー何か本戦のメンバーよりも豪華じゃね?と思った人多いんじゃないでしょうか。何だか本戦のメンバーにあまり華がない感じがするんですよね、すごく失礼な話ですけども。

 

まあそんな話は置いていて、全体的な話をしますとすごく満足しました。楽しかったです。まず東京ダイナマイトですよ!東京ダイナマイト!もういい加減に決勝行って欲しい、ファンとしては決勝で輝いている彼らを見たくてしょうがないんですよ。観客もそう感じてる人いたんじゃないですかね、登場した時に一番場が盛り上がっていた気がします。

 

東京ダイナマイト、相変わらず肩の力が抜けた漫才しますよね。ほんとに。勝つ気ないんじゃないかっていう。前年の敗者復活戦の時もそうでしたけど、落ち着きすぎててちょっと不気味ですよ(笑)。巧妙に時事ネタをぶっこんでくるし、次郎ちゃんのツッコミの緩急がおもしろすぎてつい笑ってしまいます。あとウィルチャックウィルチャックソン好きだなお前ら。劇場のネタだろうが漫才だろうがいつでもぶっこんできやがって本当に。

 

あとメイプル超合金、お笑いのレベルを一つ上げて帰ってきたなって思いました。去年出てきた時はダークホース枠で観客の笑いをかっさらっていって。すごい破天荒なネタ構成だなと思わせておいて、実はシステマチックなストーリーの作り方をするコンビですよね。漫才があんな感じなので、面白い話が作れればそれを組み合わせてどれだけでもネタ作りができるっていうのも強みだと思う。今回も入りからすごく面白かった。カズレーザが一方的に喋った後に安藤なつに一言「笑いに変えろよ!」独特の笑いの起こし方だなって思った。

 

和牛は文句なしで面白かったですね。もう言葉に起こさなくていい気がする。見ればわかる。あと期待してたのは大自然。時間制限があると彼らはちょっと不利かな。漫才の導入で1分間くらいの小芝居があって、それがなかなか面白いんだけど、それをやると本編をやる時間が少なくなってしまう。今回は殺人事件のネタだったけど、途中で「お後がよろしいようで」状態になってしまった。面白いんだけどなあ。大自然の鉄板ネタ「AED」をやっても良かった気がするけど、やっぱり時間切れになるか...。スリムクラブと並んで決勝出ると面白いなあと思ったんですけど、どうなるかな。沖縄独特のリズムでM-1グランプリを混乱させて欲しいなって思います。

 

Aマッソとか、僕あんまり好きじゃなかったんだけど、やっぱり上がってくるだけあって実力あるなって思いました。言葉回しが巧みすぎる。いろいろ漫才みたけど、ちょっと予想の上を超えるネタをやってくれる。「さん付けやめろや!一学期か!」とかすごく今回好きだった。よく考えてるなー。

 

あとジャルジャル、何やってんねん笑

【キングオブコント2016】優勝したライスのネタ「命乞い」と落語「夏どろ」について

キングオブコント2016の勝者、ライスの一本目のネタ面白かったですね。どうもインターネットを散策していると、「命乞い」という正式名称があるとのこと(ひょっとしたら生放送中にテロップ出てたかもしれないけど、見返してないので不明)。非常に構成も良く、笑いどころもたくさんあり、文句なしの出来だと思います。

 

話の構成としては、僕はタイトルにも書いた通り、落語の「夏どろ」(別名:置泥)を思い出しました。どういうお話かと言うと、夏のある日に泥棒がとある長屋に入って盗みを働こうとすると、身なりのみすぼらしい男を発見する。よくよく家の中を見回してみると、盗むものなんて何もない。そうはいっても盗みに入った泥棒は引っ込みがつかないので、「おい、何か出せ!」と言うんだけど、「ああお前泥棒か、なーんだ安心した、うちには何も盗るものなんてないよ」と開き直る始末。

 

それどころかぼろ家の家主は「せっかく来たんだから、お金貸してくれない?」なんて言ってくる。最初は「何を言ってんだよ!」と怒る泥棒も、家主の置かれた状況を聞いて、だんだん同情してしまう。「じゃあ5銭やるよ!」なんて泥棒が最終的にお金をあげようとすると、「実は5銭じゃ足らないんだ...実は5銭だけあってもすぐに飢えちゃうよ。借金があって自分の大工道具を質に流しちゃったから、仕事ができない。あーあ、あとお金がこれぐらいあればなー」なんて言う始末。情に流された泥棒は散々いろいろお金を工面することになってしまって、もう何もあげるものなんかないから帰ると言って家を出るんだけど、タバコ入れを忘れてしまった。慌てて家主が家から出て行った泥棒に声をかける。「おーい泥棒さん、忘れ物だよー!」「なんだよお前、散々いろんなものをくれてやったのに、泥棒扱いか?」「いや、でもなんて呼べばいいかわからなかったから。」というオチ。

 

一見、泥棒や強盗という上の立場にいながら、追い詰められている方の人間に手玉にとられてしまう、主導権を握られてしまう。そういった滑稽話は昔からよく受け入れられていて、ライスの「命乞い」はそのセオリーにしっかり沿ってネタができていたからウケたのだと思います。ただライスの場合は命乞い側の人間のキャラの濃さがより引き立っていて、また違った面白さがあった。そして数分という短い時間の中で、一瞬でお客さんを引き込むパワーが強くて、この辺りは落語にはない、現代の「コント」の素晴らしさなんじゃないかと僕は思います。

 

www.youtube.com

【キングオブコント2016】タイムマシーン3号とだーりんずが好きだった

 

キングオブコント2016、面白かったですね。全体的にレベルが高かったかなと思います。審査基準とかその辺に関しては、また採点方法を分析してくれる人が出てくると思うので、ただもう純粋に買って欲しかった芸人達の屍を拾うお話をしようかなと。

 

タイムマシーン3号、残念。本当に、残念。かなりネタ仕上がってたと思うんですけどね。なんだか点数伸びないですね。M-1グランプリでも 2回決勝進出してて、実力も確かにあって、本番もいいネタを披露するんだけど、「どーん」と点数が出ない。なぜなんでしょうか。ネタの奇抜さがないから...?

 

そういえばタイムマシーン3号って僕は漫才のイメージしかなくて、2人のコントを見るのが結構新鮮だったんだけど、みんなはどうでしたか?でもしっかり基本を押さえた起承転結の物語を作ってて、僕はすごく好きなんですよね。そういえば1本目のネタの不良にカツアゲをされて小銭がじゃりじゃり出てくるネタ、あれ「有吉の壁」という番組でメイプル超合金のカズレーザと組んで全く同じことやってたんですけど、これは元々テレビでやってる(鉄板?)ネタなのか、有吉の壁を通じてネタに昇華したのか、すごく気になります。知っている人がいれば教えてください。お願いします。

 

関太の所作、相変わらず綺麗でしたねー。土田晃之が「タイムマシーン3号の良いところは、よく通る声だ」と言ってましたけど、それ以上に僕は関太の動きの美しさ、指の一本一本まで意識された演技が好きなんですよね。今回もそれがたっぷり発揮されていて、すごく良かったと思います。まあその辺の話は前の記事でも書いているので、よかったらどうぞ。

www.meg2.net

 

で、あとすっごく語りたいのは、だーりんずの衝撃ですよね。コントの設定という面では今回のキングオブコントの中で一番の驚きがありました。キングオブコントにしろ、M-1グランプリにしろ、下ネタをやると評価が下がるというお約束の中、あえて童貞ネタをぶっこんでいったあたり、肝っ玉がすごいというか、アホというか。面白かったです。僕は最初TVで笑いがあまり起きていなかった原因として、「設定の奇抜さで笑いよりも驚きで頭がいっぱいになってしまった」ことかなと思ってたんですが、ツイッターを追っていたら「下ネタうぜえ」「家族と見てる時間になにやってんだよ」というコメントがかなりの数あったので、なるほどそういうのも意識しないと勝ちあがれないんだなと、改めてネタ選定の難しさを感じました(予選はまだいいかもしれないけど)。前回のキングオブコントのコロコロチキチキペッパーズの衝撃イコール、だーりんずだったというのが今回の僕の感想なんですが、まあ売れない芸人やっているというバックグラウンド情報は置いておいたとしても、間違いなく「2本目が見たかった」と言わせるネタをやってくれたと思うので、今後是非頑張って欲しいです。