めぐりめぐる。

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【キングオブコント2016】優勝したライスのネタ「命乞い」と落語「夏どろ」について

キングオブコント2016の勝者、ライスの一本目のネタ面白かったですね。どうもインターネットを散策していると、「命乞い」という正式名称があるとのこと(ひょっとしたら生放送中にテロップ出てたかもしれないけど、見返してないので不明)。非常に構成も良く、笑いどころもたくさんあり、文句なしの出来だと思います。

 

話の構成としては、僕はタイトルにも書いた通り、落語の「夏どろ」(別名:置泥)を思い出しました。どういうお話かと言うと、夏のある日に泥棒がとある長屋に入って盗みを働こうとすると、身なりのみすぼらしい男を発見する。よくよく家の中を見回してみると、盗むものなんて何もない。そうはいっても盗みに入った泥棒は引っ込みがつかないので、「おい、何か出せ!」と言うんだけど、「ああお前泥棒か、なーんだ安心した、うちには何も盗るものなんてないよ」と開き直る始末。

 

それどころかぼろ家の家主は「せっかく来たんだから、お金貸してくれない?」なんて言ってくる。最初は「何を言ってんだよ!」と怒る泥棒も、家主の置かれた状況を聞いて、だんだん同情してしまう。「じゃあ5銭やるよ!」なんて泥棒が最終的にお金をあげようとすると、「実は5銭じゃ足らないんだ...実は5銭だけあってもすぐに飢えちゃうよ。借金があって自分の大工道具を質に流しちゃったから、仕事ができない。あーあ、あとお金がこれぐらいあればなー」なんて言う始末。情に流された泥棒は散々いろいろお金を工面することになってしまって、もう何もあげるものなんかないから帰ると言って家を出るんだけど、タバコ入れを忘れてしまった。慌てて家主が家から出て行った泥棒に声をかける。「おーい泥棒さん、忘れ物だよー!」「なんだよお前、散々いろんなものをくれてやったのに、泥棒扱いか?」「いや、でもなんて呼べばいいかわからなかったから。」というオチ。

 

一見、泥棒や強盗という上の立場にいながら、追い詰められている方の人間に手玉にとられてしまう、主導権を握られてしまう。そういった滑稽話は昔からよく受け入れられていて、ライスの「命乞い」はそのセオリーにしっかり沿ってネタができていたからウケたのだと思います。ただライスの場合は命乞い側の人間のキャラの濃さがより引き立っていて、また違った面白さがあった。そして数分という短い時間の中で、一瞬でお客さんを引き込むパワーが強くて、この辺りは落語にはない、現代の「コント」の素晴らしさなんじゃないかと僕は思います。

 

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