めぐりめぐる。

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リモートワークのコミュニケーションの限界について考えている

 

タイトルのことについて書く前に、僕の働く環境について話をしたいと思う。僕は3Dに関わるありとあらゆる機械を販売する営業マンをやっているんだけど、高額機械の販売だけではなくて、機械を使った請負の仕事もとってくる使命が与えられている。(使命が与えられているというか、ノルマが課されている)

 

で、例えばお客さんから「3Dデータを元にフィギュアを造形したい」みたいな相談があった時に、金額的な面や技術スタッフのアサインが可能かどうか、納期は間に合うかみたいなことを確認するために、上司に確認を取るフローがあるんだけど、これがスムーズにいかない時が多い。

 

まず僕の席は会社の全ての営業が集まっている「営業課」という場所にあって、技術的な面を支えている技術課の上司の席から大きく離れた場所にある。スケジュールアプリ等でだいたいの行動は把握できるんだけど、「席にいるのか」「今確認を取れる状況にあるのか」何歩も歩いて会いに行き確認をする必要がある。席にいなかったり、取り込んでいたりして、なんども無駄な行動をしないといけなかったりする。実に阿呆らしいでしょ?

 

こういう体制の会社が多いのか僕はわからないんだけど、いわゆる席の島(席の集合って言ったらいいんだろうか?)は、プロジェクトとか仕事で関わるいろいろなスタッフが集まるような集合にしたらいいと思っている。営業がいて、技術がいて、アシスタントがいて、企画がいて...というように、お互いがお互いの顔や動作を認識できる状態で仕事をしていたほうが、圧倒的に効率がいい。おおよそ今相手が何をしているのか、考え事をしているのか、話しかけないほうがいいのかすぐわかるし、簡単な確認事項や報告は席を立たずにできる。ただ、ちょっとだけ席が離れているというだけで、大きなコミュニケーションロスが発生する。同じ社内にて、ほんの数歩離れているというだけで、ここまでの差が出る。

 

というわけで、自分が所属する以外の拠点の仲間と連絡を取る時は、もっと致命的なロスが発生している。まあ、ここまで自分で文章を書いてみて改めて思ったんだけど、当たり前だよなと思う。

 

物事の優先順位が伝わらなかったり、報告が漏れたり、「聞いた聞いてない」の話がひっきりなしに出てくる。その穴を埋めようといろいろなツールを使ってみるのだけど、根本的な問題は解決しない。結局いかにたくさんコミュニケーションが取れるかどうかで決まってしまうからだ。情報の発信者のスキルと、情報の受け取り手のスキルにも影響される。情報発信者が的確に情報を提供できなければ、必要な情報が受け取り手に渡っていかない。逆にいかに発信者がきちんと情報を提供していても、正しく情報を受け止められる人でなければ、情報伝達は失敗する。近くにいれば、その人の行動や表情、態度を見ることで軌道修正が容易な場面もあるかもしれないが、離れていればそれは無理だ。

 

電話をたくさんする、オンライン掲示板ツールで情報共有をする、ビデオチャットで資料の読み合わせをする...組み合わせれば組み合わせるほど、コストは増大する。優秀な人間ばかりであれば、必要十分な情報だけをやりとりできるのかもしれないが、そんな人間は多くないのでうまくいかない。

 

情報伝達に物凄く高い投資ができる企業であればリモートワークは可能だと思うけど、資金繰りギリギリの中小企業がこれを推奨すると滅亡するに違いない。電話越しに「それ部長に伝えたんですけど...」という不機嫌な声を聞きながら、僕はため息と共にそう思ったのである。