めぐりめぐる。

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営業は矢面に立ちなさい、という話

このブログを読んで技術職として働いていた時の自分を思い出し、共感の涙が出た。

530000micro.hatenablog.com

 

日本における職業プログラマの立場の弱さって異常だよな、と僕は思っている。受託請負開発でソフトウェアを作っても、製品の値段は「価値」ではなく「作るのにかかった時間」で決定され、正社員として働いて居てもその実は「時給制」という悲しさ。例えば掃除機を販売する時に「技術者がこれだけの時間をかけて作ったので、5万円です」とPRするだろうか?絶対にしない。「これは圧倒的な吸引力を誇る素晴らしい掃除機なので5万円です」と宣伝するのが普通だ。職業的プログラマは業務システムを始めとする様々な価値のある製品、サービスを作っているのにこの仕打ちはちょっとひどいと思う。でも実際に営業がクライアントにシステムを販売する時に(パッケージ製品などを販売する時は別だけどね)エンジニアの単価と作業工数を見積もり書に明記させられるケースは珍しくないのだ。

 

またkenさんが書いているように、仕様変更の際にエンジニアがクライアントから責められるケースというのはよくあるのだけど、ここで営業が役に立たないと死活問題なのだ。だいたい営業とクライアントの意思疎通が上手にいっていないおかげでシステム納品間近に大問題になることが多いのだけど、その時に営業が「エンジニアに説明させます」というようなスタンスを取るともう最悪。

 

営業の本来の仕事としては、打ち合わせを行ってシステムを作っていく中で「どちらに問題があったのか」冷静に分析し、クライアントの要求を飲む部分と弾く部分を明確にして交渉しなければいけない。クライアントは基本的に「自分たちの思い通りにならないものは瑕疵である」という感覚を少なからず持っているので、しっかりと営業が線を引いてなんでも言いなりにならずに仕事をしていく必要があるのだが、それができずにプロジェクトが炎上していくことも多い。

 

こうしたケースでエンジニアを火消しのために打ち合わせに同行させるともっとひどいことになる。基本的にこの手の交渉事というのは現場から離れていて冷静に事実を分析し適切な対応が取れる人がやるべきなのだが、それをエンジニアに任せるのは非常に問題である。まずエンジニアの能力の問題の前に、日々目の前の仕事をこなすためのプログラミングに集中している人間に交渉事は難しい。エンジニアが判断できるのは「作業が何時間で終わらせることができるか」といった点に限られていて、「クライアントが無茶を言っているけど飲むべきだろうか」といった状況には頭が対応していかない。プログラミングをしていて、お客様が納得していない状況で「これってできないの?」と言われれば「もちろんできますよ、私にはその能力がありますから」と言いたくなるのがエンジニアであり、会社として仕事を受けていて利益を出すためにはどこまでクライアントの要求を飲むかといった駆け引きをエンジニアにやらせることは酷なのだ。

 

kenさん、いつもお疲れ様です。