【公衆電話】時代のバックグラウンドを共有できないお笑い
家の近くに古臭い公衆電話がありましてね、5分くらい眺めていたら昔好きな子の家にこれを使って電話をかけていたことを思い出したんですよ。懐かしいなあと。10円玉を大量に積み上げて。なけなしのテレフォンカードなんて使って。「テレフォンカード」だって。昔は限定テレフォンカードなんてあったよね、アイドルが印刷されてる限定のやつ。もったいなくて使えなくて未使用で保管しておくんだ。で、話が脱線したので戻すと、こういうある種の昔の電話事情に関するバックグラウンドって、今じゃ若い人たちに伝わらない可能性があるよね。絶対公衆電話なんてみんな使わないでしょ。ていうか思考停止してるやつだったら公衆電話を見ても「あれはなんだ?」なんて疑問を持たない奴も一定数いるでしょ。実際いましたからね、携帯電話が充電切れになった時に公衆電話を使うことを提案したら「公衆電話ってナニ?」っ言い放った人を僕は知ってますよ。
まあでもこれは仕方がないことで、今携帯電話に慣れていてひょっとすると家に固定電話がないなんて家庭もあるじゃないですか。僕の今住んでいるところもそうです。固定電話なんて置く必要がないし、お金がかかるし。で、問題だなというか困ったなあと思うのは、こうした歴史を共有できない人がどんどん増えてくるんだということです。僕は最近歩いてる時にお笑いの台本を作るためにネタを探したり頭の中で妄想することを楽しんでいるんですが、例えば公衆電話を使った漫才なんか作ってもたぶん一定年齢以上にしかウケないんですよ。
「もしもし、優子さんいますか?」
「あたしは優子じゃないよ」
「いやいやそういうことじゃなくて...優子さんに代わって欲しいんですよ」
「なんで代わって欲しいの?私にわかるように説明して」
「...お母様ですかね?すみません今それどころじゃないんですよ。今こうやって話をしている間にも10円玉がチャリチャリ消えていくんですよ、お願いしますよ」
「あんたうちの娘と話すのに10円玉なんか使ってんのかい?けち臭いねえ。男なら100円玉いれなさいよ」
「いやいや100円玉いれてたら使った分返ってこないじゃないですか!」
「だからそれがケチ臭いってんだよ。そんな男には娘はやらないよ!」
「結婚を申し込んでるわけじゃないですよ!だいいち僕優子さんとはお付き合いする仲じゃないですから!」
「じゃあなんでかけてきてるんだい?怪しいねえ...。だいいち今何時だと思ってんだい?夜の9時だよ?可愛い娘はもうお眠の時間だよ」
「あんたの娘はもう22だろ!」
「だいたいあんたのお母さんは躾をしなかったのかねえ...。友達のお家に電話する時は夕飯時と夜の10時以降はかけちゃダメって言われなかったかい?」
「今まだ9時じゃないですか」
「今夕飯食ってんだよ!」
「遅いよ!もっと早く優子に食べさせてあげてよ!」
「あんた今優子って呼び捨てにしたね、やっぱり深い関係なんじゃないの?説明しなさいよ!」
「お母さん...もう小銭がないんですよ。ああまた10円落ちた。もうあとテレフォンカードしかない」
「テレフォンカード使えばいいじゃないか」
「広末涼子の限定テレフォンカードなんで使いたくないです」
「広末涼子とあたしの娘、どっちが大事なんだい」
「すごい二択!」
「さあ早く決めな!」
「えーと...じゃあテレフォンカード入れますよ...そういうことなら」
「よし、よく言ったね。じゃあお父さんに代わるね」
「優子に代わってくださいよ!!!」
みたいな漫才やっても何がなんだかわからないんでしょう?世知辛いなあ。
【ネタを考えるのと合わせて20分で書いた】